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映画「新聞記者」でシム・ウンギョンの演技に脱帽!

映画 新聞記者を見ました。

ほとんど事前情報を知らずに見ましたけれど、力作だと思います。

 

なんと行っても印象に残ったのは、吉岡エリカ役の韓国の女優
シム・ウンギョンです。

 

エリカ役は日本の女優が演じた方がよかったという声もあるようですが、
シム・ウンギョンで大正解だと思います。

 

ひとつには、吉岡エリカが日本人の父と韓国人の母をもち、ニューヨークで
育ったという設定です。エリカは日本語も堪能ですが、メモをとるのは英語です。
そして、韓国語の場面はなかったと思いますが、韓国語は母国語です。

 

主人公の吉岡エリカを演じられる日本の女優さんはいるとは思いますが、
この映画に関しては、日本人にとって先入観がある日本人女優よりも
あまり知られていない韓国人女優の方が合っていると思います。

先入観なしに、吉岡エリカを見られるからです。

 

私自身シム・ウンギョンのことを知りませんでした。
有名な彼女の主演作「怪しい彼女」も見ていません。

そのよく知らない女優さんだけに、まっさらなきもちで吉岡エリカを
見つめられてよかったと思います。

 

とにかく彼女は真面目で真剣に真実を追求します。
彼女の父が誤報のため、非業の死を遂げたということもあるでしょう。
でもそれだけではない。彼女の新聞記者としての使命、誇り、自分の良心、
それをすべて投下して、自分の仕事につき進むのです。

 

彼女の寝る間も惜しんで自分の信念に基づいて行動する姿に釘付けに
なって見ていました。

この役は女性だからできるのです。彼女だからこそ演じられます。

これが男性記者だったらちょっとつまらないです。

 

映画を見る限りでは、彼女に私生活なんてほとんどないのではないでしょうか?
恋人はいるのでしょうか?でてこなかったし、恋などしている余裕も
ないのかもしれません。

 

地味でもセンスのよい服を着ていますが、買い物する時間なんて
あるでしょうか?

 

とにかく、この映画では「現政権に不都合なニュース」の真相を暴く
という政治的なテーマよりも、彼女の真剣で真摯な生き方に
心を奪われました。

 

内閣情報調査室の若手エリート官僚・杉原拓海(松坂桃李)は、
元上司神崎俊尚(高橋和也)のことを、エリカと調べていくうちに
真相にたどり着くのですが、妻と生まれたばかりの娘がいる家庭の
ことも捨てることはできない。非常に悩むことになります。

 

エリカには守るべき家族もとりあえずはいないようですが、
杉原は家族持ちです。ここの違いはどうしようもないです。

 

「新聞記者」を見ていて、私が杉原だったら、家族を顧みず、
真実の追求のために、突き進むことができるのか?
と考えてしまいます。たとえ自分の出世や将来がどうなろうと
かまわないとしても、家族は養って、共に生活していかなければ
なりません。

 

この点、杉原の上司の多田智也役 田中哲司は、露骨に
「これも現政府を守るため」と言って、杉原に仕事を強要します。
出産祝いを渡したりして非常に露骨です。

 

田中哲司はこのような悪役?もとてもうまいですね。はまっています。

神崎俊尚役の高橋和もうまいですね。自殺する官僚役にぴったりでした。


新聞記者のラストは、メデタシ、メデタシではありません。

観客に考えさせるラストです。

ここがハッピーエンドだったら、リアリティーがなさすぎるでしょう。

観客がこれからよ~く考えるように仕向けていますね。


とにかくシム・ウンギョンの熱演が強い印象に残った作品でした。

私の中の、今年の主演女優賞はシム・ウンギョンに決定です!


「新聞記者」  (2019年)

<スタッフ>

原案:望月衣塑子「新聞記者」(角川新書刊)、河村光庸
監督:藤井道人
脚本:詩森ろば、高石明彦、藤井道人
音楽:岩代太郎
主題歌:OAU「Where have you gone」


<キャスト>

吉岡エリカ:シム・ウンギョン
杉原拓海:松坂桃李
原奈津美:本田翼
倉持大輔:岡山天音
関戸保:郭智博
河合真人:長田成哉
神崎千佳:宮野陽名
都築亮一:高橋努
神崎伸子:西田尚美
神崎俊尚:高橋和也
陣野和正:北村有起哉
多田智也:田中哲司